法定相続情報証明制度
今までは、相続の発生後に、不動産の名義変更、預貯金の解約や株式の移管手続を行う場合、相続人の範囲を証明するために、戸籍謄本等の書類を一式揃え、その都度窓口に提出する必要があり、相続人が相続手続を行う上で大きな負担となっていました。
法定相続情報証明制度は,法務局に戸除籍謄本等の束を提出し,併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を提出することで,登記官がその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付してくれる制度です。
この相続情報一覧図の写しには、法定相続人の氏名・生年月日等が記載されており、法務局の登記官が認証文を付した上で交付してくれますので、銀行、証券会社や保険会社などにおいても戸籍謄本等にかわる証明書類として取り扱われます。
そして,相続手続を行う際に、この法定相続情報一覧図の写しを窓口に提出することで,戸除籍謄本等の束を何度も出し直す必要がなくなります。
法定相続情報証明制度の手続きの流れ
① 戸籍謄本等の必要書類の収集
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② 法定相続情報一覧図の作成
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③ 申出書の記入、法務局へ申出
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④ 登記官による確認、法定相続情報一覧図の保管
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⑤ 認証文付き法定相続情報一覧図の写しの交付、戸籍謄本等の返却
必要書類
1) 被相続人(亡くなれた方)の出生から死亡までの戸籍
2) 被相続人(亡くなれた方)の住民票の除票又は戸籍の附票
3) 相続人全員の戸籍謄抄本
4) 申出人の住所・氏名を確認できる公的書類
5) (法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合)各相続人の住民票の写し
6) (委任による代理人が申出を行う場合)委任状
法定相続情報証明制度の申出ができる相続人、代理人の範囲
1) 申出をすることができるのは、被相続人の相続人
2) 代理人となることができるのは、
①法定代理人
②民法上の親族
③弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理人、行政書士
申出ができる法務局は、次の地を管轄する法務局のいずれか
① 被相続人の本籍地(死亡時の本籍)
② 被相続人の最後の住所地
③ 申出人の住所地
④ 被相続人名義の不動産の所在地
法定相続情報一覧図の写しの再交付を受けたい場合
法定相続情報一覧図の写しが追加で必要となった場合は、再交付を受けることができます。
再交付を受けることができる方・期間
当初の申出において申出書に「申出人」として氏名を記載した方(申出人とならなかった他の相続人は,再交付を受けることができません。ただし、他の相続人が再交付を希望する場合は、当初の申出人からの委任が必要)。
法定相続情報一覧図は,5年間(申出日の翌年から起算)保存されますので,この間であれば再交付を受けることができます。
法定相続情報証明制度を利用する際の留意事項
☑ 法定相続情報証明制度において交付する一覧図の写しは,相続手続にのみご利用いただけます。
☑ 被相続人名義の不動産がない場合(遺産が銀行預金や株式のみの場合)でも利用することが可能です。
☑ 申出は、郵送によることも可能です。
☑ 法定相続情報一覧図の写しは、相続手続に必要な範囲で、複数枚発行可能です。
☑ 法定相続情報証明制度は、戸除籍謄本等の記載に基づく法定相続人を明らかにするものですので、推定相続人の廃除、相続放棄や遺産分割協議の結果によって、実際には相続人とならない方(相続分を有しない方)がいる場合も、法定相続情報一覧図にはその方の氏名等が記載されます。
☑ 相続手続を行う場合、法定相続情報一覧図の写しの他、相続放棄申述受理証明書や遺産分割協議書は別途提出する必要があります。
☑ 被相続人や相続人が日本国籍を有しないなど、戸籍謄抄本を提出することができない場合は、本制度を利用することはできません。