遺言が持つ意味
遺言とは、今まで自分が築いてきた、かつ守ってきた大切な財産を、最も有効・有意義に次世代に引き継がせるために行う遺言者の最後の意思表示です。
相続によって相続人が受け取れる相続分は法律上定められており、法定相続分と異なる割合で分配したければ、相続人間で遺産分割協議をするしかないのです。
しかし、故人が亡くなった後、遺言書がないがために、遺産を巡り相続人間で争いが起きてしまうことも少なくありません。自分の死後、今まで仲の良かった相続人が、遺産を巡って争いが起こり、家族関係が壊れてしまうことほど悲しいことはありません。「相続」を「争続」にしてはいけません。
そのような状況を防ぐことができるのは、法律ではなく、「遺言者自身」なのです。自分の遺産を、誰に、どの割合で引き継がせるか財産の帰属先を定め、遺産を巡る争いを避け、円満な相続を実現させる目的があるのです。
遺言書の種類
遺言書には、大きく分けて、普通方式と特例方式の2種類があります。普通方式の中でも、「自筆証書遺言」・「公正証書遺言」・「秘密証書遺言」、特例方式では、「緊急時遺言」・「隔絶地遺言」があります。
普通方式 | 特例方式 |
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特例方式の遺言は、死亡が間近に差し迫った場合や船で遭難した場合など極めて例外的な場合に作成されるため、ここでは、もっとも一般的に利用される「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」についてみていきます。
自筆証書遺言と公正証書遺言の相違点
a 自筆証書遺言とは、遺言者が遺言の全文・日付・氏名を自書し、押印して作成する遺言です。紙と筆記具さえあればいつでも作成でき、他の方式と比べると費用も掛からず手続も一番簡単です。
b 公正証書遺言とは、遺言者が、公証人の面前で、遺言の内容を口授し、それに基づいて、公証人が、遺言者の真意を正確に文章にまとめ、公正証書遺言として作成する遺言です。
自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | |
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メ リ ッ ト |
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デ メ リ ッ ト |
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遺言書の作成が必要な場面
1.相続財産に不動産がある場合
遺産が現金の場合、相続人間で簡単に分配できるが、土地・建物などの不動産の場合、簡単に分配・売却できないので、遺言書がなければ相続人間で争いが起こる可能性があります。
2.被相続人に子供がいない場合
夫婦間に子供がいない場合、配偶者と亡くなった配偶者の親や兄弟姉妹が相続人となり、配偶者が全ての遺産を相続することができなくなります。遺言書さえ作成しておけば、全ての財産を配偶者に残すことができます。
3.法定相続人以外の人に自分の財産を引き継がせたい場合
遺言書がない場合、遺産は法定相続分に応じて、もしくは遺産分割協議によって相続人間で分配されることになります。そのため、相続人以外の人に自分の遺産を引き継がせたい場合、遺言書の作成が必要になります。
4.そもそも相続人がいない場合
相続人がいない場合、特別な事情がない限り、遺産は国庫に帰属します。そのため、生前にお世話になった人に財産を残したい場合、公共団体に遺産を寄付したい場合には、遺言書の作成が必要になります。
5.相続人の中に未成年者・認知症・行方不明の方がいる場合
相続人の中に未成年者・認知症・行方不明の方がいる場合、遺産分割協議をするためには、特別代理人・成年後見人・不在者財産管理人等を選任しなければならず、手続きが複雑になります。
6.離婚した配偶者との間に子供がいるなど、親族関係が複雑な場合
先妻の子と後妻の間では、感情的になりやすく争いが起こることが予想されるので、そのような争いを防ぐため、遺言書を残しておく必要性が高いといえます。
7.会社を経営している場合
会社経営者や自営業者の場合、相続によって資産が分散してしまい、経営が成り立たなくなる可能性があります。後継者が安心して事業に必要な資産を相続できるよう遺言書を残しておく必要性が高いといえます。
こんな時ご相談して下さい
- 自分の最後の思いを伝えたい
- 自分が築いてきた大切な財産を、最も有効、有意義に次世代に引き継がせたい
- 実態に即した相続関係の実質的公平を図りたい
- 相続人以外の人へ財産を引き継がせたい
- 相続人間での紛争が予想される場合
- 遺産分割協議の困難性、長期化による弊害を避けたい
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